福祉施設やパブリックスペース向けの製品や空間提案を行う「インフィルウェルネス」のWebサイトをご覧いただきありがとうございます。この「エシカルblog」では、「エシカル水栓」というインフィル独自の電気温水機能付き自動水栓製品を通じて、特別養護老人ホーム向けに少しでも施設の経営や運営のお役に立てればという思いから記事を掲載していきます。
洗面化粧台に設置する小型電気温水器を選ぶ際、瞬間式を採用すると「長く使っているうちに、お湯の温度が低くなったりしないの?」という心配を耳にします。
特に高齢者福祉施設や医療・介護施設では、毎日多くの利用者が洗面化粧台を使用します。そのため、電気温水器には省エネ性だけでなく、安定した加熱性能と長期的な信頼性が求められます。
インフィルの電気温水器、「エシカル水栓」は、裸ニクロム線を用いた電気抵抗加熱方式のヒーターを採用しています。これ以外にも小型電気温水器では、セラミックヒーターやシースヒーターが採用されています。今回は、裸ニクロム線ヒーターの仕組みと、他の方式との違い、そして「なぜ裸ニクロム線ヒーターは経年劣化による加熱性能が低下しにくいのか」について分かりやすく解説していきます。ぜひ最後までご覧ください。
小型電気温水器に使われる主なヒーター方式の特長
小型電気温水器に使われるヒーターには、主に次のような方式があります。
| ヒーター方式 | 概要 | 特徴 |
|---|---|---|
| 裸ニクロム線ヒーター | ニクロム線に直接電気を流し、電気抵抗によって発熱させる方式 | 立ち上がりが早く、構造がシンプル。経年による出力低下が起こりにくい |
| セラミックヒーター | 発熱体をセラミック素材で覆い、熱を伝える方式 | 絶縁性や安全性に優れる一方、被覆部分を介して熱を伝える構造 |
| シースヒーター | 金属管の中に発熱線を入れ、絶縁材で保護した方式 | 耐久性が高く広く使われるが、金属管を介して熱を伝える構造 |
一般的な小型電気温水器では、セラミックヒーターやシースヒーターが多く使われています。これらのヒーターは熱を生み出す発熱体が被覆材や金属管に覆われているため、発熱体の熱はいったん外側の素材に伝えられ、それから水を温めるという構造になっています。 一方、当社エシカル水栓の電気温水器は、裸ニクロム線による直接的な電気抵抗加熱方式を採用しています。電気を流すことでニクロム線そのものが発熱体となり、水を温めます。

【各ヒーターのイメージ】 セラミックヒーターとシースヒーターは発熱体(電熱線)がセラミックと金属に覆われている。
裸ニクロム線ヒーターの特長
裸ニクロム線ヒーターの大きな特長は、使用年数の経過による加熱出力低下が起きにくいという点です。
電気ヒーターの加熱出力は、主に「印加電圧」と「ヒーター素線の電気抵抗値」によって決まります。印加電圧とは、簡単にいえばヒーターにかける電圧のことです。家庭用の100Vや、施設・設備で使用される200Vなどがこれにあたります。
ニクロム線は、高温環境下でも電気抵抗値の経年変化が極めて小さい材料です。そのため、通常の使用条件においては、年数が経ったからといってヒーターの出力が徐々に低下することはありません。正常に動作している限り、定格出力が維持される特性があります。
つまり、使用開始から数年が経過したあとに、ヒーターの能力低下によって「以前よりお湯がぬるくなった」という状態にはなりにくいといえます。
経年劣化がなく長期的な安定稼働で利用者も安心
裸ニクロム線ヒーターの特長は経年による劣化がなく、寿命に達した段階で断線するという点にあります。
これは給湯器という製品特性上、非常に重要なポイントです。古い照明器具をイメージすると分かりやすいかもしれません。フィラメントの入った照明器具などは使っているうちに劣化し少しずつ暗くなっていくように感じます。しかし、裸ニクロム線ヒーターは古い照明のように「徐々に劣化する」ということはなく、寿命に達して断線するまで、一定の加熱性能を保つことができます。
そのため、エシカル水栓は、正常に稼働している限り、
100V仕様で水温+約16℃、200V仕様で水温+約20℃
という加熱性能が維持されます。
これは、日々の使用において非常に大きな安心材料です。施設で使用する洗面用の温水は、常に安定して供給されることが求められます。利用するたびに温度が不安定になったり、年数とともに加熱力が弱くなったりすることは、利用者の快適性にも施設運営にも悪影響を与えます。
裸ニクロム線ヒーターは、利用者の不安を抑え、長期にわたり安定した温水供給を実現しやすい方式といえます。
裸ニクロム線ヒーターの耐久性は?
それでは、安定した稼働を維持する裸ニクロム線ヒーターの耐用年数はいったいどのくらいでしょうか?
エシカル水栓の電気温水器に搭載されているヒーターの動作回数は、約140,000回を想定した高耐久設計となっています。
仮に1日20回程度使用した場合、140,000回 ÷ 20回 ÷ 365日 = 約19.2年となります。
つまり、単純計算では約20年の使用回数に相当する耐久性を持っていることになります。
もちろん、電気温水器はヒーターだけで構成されているわけではありません。内部にはパッキンやその他の消耗部品も使われています。そのため、製品としての耐用年数は、これらの部品の劣化も考慮し、10年程度を目安として設定しています。
大切なのは、ヒーターの加熱性能というよりも、製品全体の安全性や消耗部品の管理を含めて、適切な交換時期を考える必要があるという点です。
水垢やスケールによる影響を受けにくい構造
最後は電気温水器の性能低下に直結する水垢やスケールの付着の問題です。スケールは水道水の中のカルシウムやマグネシウムなどのミネラル分が結晶化してコンクリートのように固まったものです。
セラミックヒーターやシースヒーターは、発熱体が厚い被覆や金属管に包まれています。そのため熱を水に伝えるためには、まず被覆や金属管に熱を伝える必要があります。さらに、もしそこにスケールのような付着物がついてしまうと、熱伝導に悪影響を与え、水が十分に温まらない可能性があります。
一方、裸ニクロム線ヒーターの場合、セラミックヒーターのような厚い被覆を持たないため、水垢やスケールの付着による熱伝導低下の影響を受けにくく、長期間にわたり安定した加熱性能を確保しやすいという特長があります。

【水垢やスケールの付着イメージ】セラミックヒーターやシースヒーターに水垢やスケールが付着すると皮膜や金属管が厚くなり熱伝導に悪影響を及ぼす。
まとめ|経年による加熱性能の低下の心配が少ないエシカル水栓
エシカル水栓に採用されている裸ニクロム線ヒーターの電気温水器は、セラミックヒーターやシースヒーターとは異なり、シンプルで直接的な電気抵抗加熱方式を採用しています。
その最大の特長は、正常に稼働している限り、加熱性能が低下しにくいという点です。
裸ニクロム線は電気抵抗値の経年変化が少なく、使用年数が経っても定格出力を維持しやすい材料です。また、付着物による熱伝導低下の影響も受けにくい構造をしています。
そのため、電気温水器を使用する際に、年々お湯の温度が低くなっていくような現象は起こりにくい製品といえます。
施設で使用する設備には、毎日安定して使えること、長期間にわたり性能が維持されること、そして管理しやすいことが求められます。
当社採用の裸ニクロム線ヒーター式電気温水器は、正常に稼働している限り、
100Vで水温+約16℃、200Vで水温+約20℃の加熱性能を安定して維持することができるため、福祉施設や医療・介護施設に適した、信頼性の高い温水設備となっています。
インフィルはただの設備メーカーではなく、設計から施工までワンストップで行える会社です。製品を販売して終了ではなく、現場の生の声を吸い上げながらプロフェッショナルな目線でちょっと気の利いたご提案をしています。
水栓や設備以外でも、介護現場のちょっとした困りごとがあれば、ぜひお気軽にインフィルにご相談ください。福祉施設様ごとに異なる一つひとつの課題に対して、本当に必要なことを見極めて、最適なご提案をいたします。
「インフィルウェルネス」とは?
住宅設備を軸としたソリューションプロバイダーの株式会社インフィルによる、福祉施設・パブリックスペースのための製品開発や空間提案を行うプロジェクトです。車椅子利用を前提としたオリジナル洗面化粧台「AQUA」と、“日々の生活をしやすく(Day+Easy)”をコンセプトにした福祉施設向けの製品群「Daysy®」を軸に、誰もが快適に使いやすい製品を開発。設計から施工までワンストップで対応することでお客さまの抱えている課題と丁寧に向き合い、ソリューション性の高い提案を行なっています。
「エシカル水栓」とは?
インフィル独自の電気温水機能付き自動水栓「エシカル水栓」は、福祉施設の中でも特に特別養護老人ホームに向けた製品となります。製品価格はもちろん電気代も含めたトータルコストでの改善と飲用可能という機能面の両立を図った「エシカル」の名の通りの製品となっており、多くの施設で高い評価をいただいています。

