福祉施設やパブリックスペース向けの製品や空間提案を行う「インフィルウェルネス」のWebサイトをご覧いただきありがとうございます。この「エシカルblog」では、「エシカル水栓」というインフィル独自の電気温水機能付き自動水栓製品を通じて、特別養護老人ホーム向けに少しでも施設の運営管理を楽にして、スタッフの方の働きやすい環境の実現に役立てればという思いから記事を掲載していきます。近頃の給湯器と言えばエコキュートをよく聞きます。エコキュートは電気温水器よりも電気代が1/3程度に抑えられると言われていて、電気代の節約が期待されているようです。それで今ならエコキュートの方が良いのでは?電気温水器はもう古いだろうなどと考える方もおられるかもしれません。実はそんな中でも、福祉施設の居室内で価格も抑えて導入することができると人気なのが、昔ながらの“電気温水器”です。古い電気温水器がなぜ人気なのでしょうか。
エコキュートと電気温水器は電気を使ってお湯を沸かすという部分は一緒ですが、大きく違う部分もたくさんあります。
今回は、エコキュートと電気温水器の違いや、どちらが良いか検討する際に知っておきたいそれぞれのメリット・デメリット、さらに導入費用や電気代などのランニングコストについて詳しくご紹介します。ぜひ最後までご覧ください。
エコキュートと電気温水器の仕組みの違い
エコキュートと電気温水器の仕組みの大きな違いは、熱を作り出す方法です。
エコキュートは、外気を利用したヒートポンプで水を加熱します。気体は圧縮すると熱を持つ性質があり、中でも二酸化炭素(CO2)は高温を生み出すのに適した自然冷媒です。ヒートポンプは、自然冷媒である二酸化炭素(CO2)を取り込み、コンプレッサーで圧縮することで熱を生み出す仕組みになっています。電気の力だけでなく自然の力も利用するため電気温水器よりも高い効率でお湯を沸かすことができます。
一方、電気温水器は電気を金属に通すことによって、電熱ヒーターを使って水を直接加熱してお湯を作ります。
このようにエコキュートは複雑な構造によって効率的にお湯を沸かしていますが、電気温水器はとてもシンプルな仕組みになっています。
エコキュートと電気温水器の価格の違い
エコキュート本体価格は機器の仕様や容量によって幅がありますが、一般的には100万円程度かかるようです。加えて設置工事など導入にかかる初期費用は8~20万円程度になります。
一方、電気温水器は本体価格の目安が50万円程度。これは方式によってはもっと抑えられます。工事費用は7~10万円程度が目安です。
いずれも本体価格や工事費用は業者によって異なるため、導入時にはしっかり確認しましょう。
おおよそエコキュートは、電気温水器の数倍の価格になります。
補助金の有無の違いと条件
エコキュートは場合によって導入時に国や自治会から補助金が出ることもあるので検討されている方も多いのではないでしょうか?
補助金には条件があって、たとえば“給湯省エネ事業”の対象となるのは、新築注文住宅にエコキュートを購入・設置する際の工事請負契約時や、エコキュートが設置された新築分譲住宅購入の不動産売買契約時などに限られていて、さらに補助対象のエコキュート機種が限定されているケースもあります。
このように補助金制度は広く適用されるわけではないので、必要な機能や予算を総合的に考慮しながら選びましょう。
一方、電気温水器は給湯省エネ事業の補助金対象外となっています。
電気代などのランニングコストの違い
エコキュートと電気温水器はお湯を作る仕組みが違うため、かかる電気代も異なります。
ヒートポンプで外気の熱を利用するエコキュートより、電熱ヒーターを使って水を直接加熱してお湯を作る電気温水器の方が消費電力は多くなるため、一般的に電気代も割高になる傾向があります。
また、同じ電気温水器でも“瞬間式”と“貯湯式”とではランニングコストが大きく異なります。これらの方式による電気料金の違いを試算した記事がありますので、そちらもご覧ください(関連記事「老人ホームのコスト削減!?電気温水器の電気料金、方式で比べてびっくり!」はこちら)。
設置面積の違い
エコキュートは貯湯ユニットの他に室外機を設置する必要があります。
一方、電気温水器は本体のみでお湯を作ることができるので洗面台の下の少ないスペースでも設置が可能です。さらに瞬間式電気温水器であれば、タンクが不要なので設置面積がさらに省スペースになります。
耐用年数の違い
メーカーが保証している期間は、電気温水器もエコキュートもほぼ同じ年数です。
大手メーカーでは、給湯器本体の無償保証期間は2年間です。その他、熱交換器やヒーターは3年間、貯湯タンクの缶体は5年間の保証となっており、これは電気温水器もエコキュートも同じ年数となっています。
また、ユーザーが保証料を負担することによって保証期間を延長できる制度もあり、その場合はメーカー保証期間と延長保証期間を合わせて、合計で5~10年程度の保証を受けられます。エコキュートはまだ歴史が浅く、実際の長い期間での耐用年数が実証できていませんが耐用年数が10年程度といわれています。一方、電気温水器は昔からある方式なので約10〜15年という実績がすでにあります。中には30年以上も稼働している設備もあるそうです。
動作音の違い
エコキュート稼働時、40db程度の音が発生します。これは家庭用クーラーの室外機や換気扇が出す50dbよりは小さいですが、ヒートポンプユニットから出る12.5Hz程度の低周波音は人によっては不快に感じる可能性があるので、ある程度の配慮が必要になります。とくに眠りが浅いレム睡眠の時間帯に低周波音を聞くと目が覚めてしまうという実験結果も報告されています。エコキュートは電気代の安い夜間の時間帯に稼働することが多いため、福祉施設の居室が近接するような場所に設置するのは避けたほうがよいでしょう。
一方、電気温水器はとくに機械を動かすことがないので運転時に機械音がしません。
まとめ | 歴史ある電気温水器。だからこそ安心して使える
今回はエコキュートと電気温水器の違いについて詳しくご紹介しました。
同じ電気を使ってお湯を沸かす機械なのに大きな違いがありましたね。
最初にお話しした通り、今でも昔ながらの“電気温水器”は価格も抑えて導入することができると人気です。これは福祉施設の居室内での使用を考えて、様々なメリット・デメリットを検討した結果、瞬間式電気温水器が選ばれているのではないでしょうか。その中でもインフィルの瞬間式温水器“エシカル水栓”は福祉現場をよく考えて開発された製品ですので、福祉施設の管理者の方はぜひこの機会に“エシカル水栓”をご検討されてはいかがでしょうか?導入コストに加え電気代削減で福祉施設のコスト削減に大きなお力添えができると思います。私たちは福祉施設の現場で何が必要かを常に考え、製品開発に取り組んでおります。今後ともよろしくお願い申し上げます。
「インフィルウェルネス」とは?
住宅設備を軸としたソリューションプロバイダーの株式会社インフィルによる、福祉施設・パブリックスペースのための製品開発や空間提案を行うプロジェクトです。車椅子利用を前提としたオリジナル洗面化粧台「AQUA」と、“日々の生活をしやすく(Day+Easy)”をコンセプトにした福祉施設向けの製品群「Daysy®」を軸に、誰もが快適に使いやすい製品を開発。設計から施工までワンストップで対応することでお客さまの抱えている課題と丁寧に向き合い、ソリューション性の高い提案を行なっています。
「エシカル水栓」とは?
インフィル独自の電気温水機能付き自動水栓「エシカル水栓」は、福祉施設の中でも特に特別養護老人ホームに向けた製品となります。製品価格はもちろん電気代も含めたトータルコストでの改善と飲用可能という機能面の両立を図った「エシカル」の名の通りの製品となっており、多くの施設で高い評価をいただいています。