福祉施設やパブリックスペース向けの製品や空間提案を行う「インフィルウェルネス」のWebサイトをご覧いただきありがとうございます。この「エシカルblog」では、「エシカル水栓」というインフィル独自の電気温水機能付き自動水栓製品を通じて、特別養護老人ホーム向けに少しでも施設の運営管理を楽にして、スタッフの方の働きやすい環境の実現に役立てればという思いから記事を掲載していきます。今回は福祉施設の居室内で毎日使う水栓のトラブルは避けたいものですが、果たして故障しにくい温水器とはどのような物でしょうか?温水器の構造や設置場所での違いを考察してみました。またトラブルを未然に防ぐメンテナンスの必要性についてもご紹介しています。ぜひ最後までご覧ください。
施設の温水器の故障しやすい箇所とは?
福祉施設の温水器のさまざまな故障しやすい箇所を以下に挙げてみます。
・貯湯タンク
貯湯タンクは沸き上げたお湯を貯めておく重要な箇所ですが、タンクには不純物やゴミが溜まりやすいという欠点があります。
水道水には様々な不純物が含まれており、それがタンク内に沈殿してゴミとして蓄積されることもあります。また、そこから流れた汚れやゴミが配管やフィルターを通って蓄積されることで目詰まりを起こしたり配管を劣化させたりすることもあります。さらに貯湯タンクの掃除を怠ると不純物やゴミを含んだ不衛生なお湯を使用することに。当然、給水にゴミが混じれば飲用できません。また、タンクや配水管の汚れは劣化にも繋がって水漏れの原因にも。湯切れが頻発するトラブルが実は劣化したタンクからお湯が漏れていて十分にお湯が貯まらない状態だったなんてことはよく聞きます。
・直火が当たる箇所
ガスや石油給湯器の場合、配管を直火で熱してお湯を沸かす仕組みのため、劣化が起きやすく故障を引き起こす可能性があるようです。
・ヒーター
常に高温に熱されるヒーターは故障の原因になりやすいようです。ヒーターそのものには劣化の心配がないものの、ヒーター周辺の箇所、例えばヒーターと配管を繋ぐ箇所のゴムパッキンが劣化して水漏れを起こす可能性があります。ゴムパッキンはシリコンゴム製なので本来は熱に強いものですが、長い間、熱水に触れ続けていると加水分解を起こして弾力がなくなりヒビが発生して水漏れの原因となることもあるようです。特にその近くにプリント基板がある場合には漏水の影響で故障が心配されます。
・制御基板
温度調整などを制御するプリント基板の故障も多く聞かれます。漏水や結露によってプリント基板に錆が生じて通電しなくなったり、さらに漏電による火災も心配されます。
・ヒートポンプユニット(エコキュート)
エコキュートは外気を取り込んでお湯にするため、設置環境によってはヒートポンプユニットに異物が取り込まれてトラブルを起こすことがあります。
また、故障ではありませんが、外気温がマイナス10℃になるような場所では効率的にお湯を沸かすことができないため、寒冷地仕様のエコキュートもあるようです。以上、温水器の故障が発生しやすい箇所をそれぞれ挙げてみました。
こうしてみると、ガスや石油、エコキュートと比較して電気温水器の耐用年数が長い理由が頷けます。電気温水器の中には30年以上も稼働しているものがあるらしいです。(さすがにその頃には既にメーカー部品が残っている可能性は低いかもしれませんが…)
電気温水器の中でも瞬間式はタンクが必要ないので、故障のリスクがさらに低くなります。水を熱するためのヒーターに水を通すだけのシンプルな構造なので、他の複雑な構造の温水器に比べてトラブルの発生率も低いのではないでしょうか。
以上から温水器はシンプルな構造が故障しにくいうえ万が一のときでも修理が簡単であると言えます。
給湯器の設置場所による様々なリスク
次に温水器の設置場所による故障の様々なリスクを挙げてみます。
・温水器の周辺に物がある
水道水を加熱するため温水器本体や配管部分が高温になることもあり、周りに物を置くと熱がこもって故障に繋がります。
さらに周りに可燃物を置くと火事に繋がる危険性もあります。
屋外にはついつい物を置いてしまいがちですが、温水器の周辺に段ボールや粗大ごみなどの物が置いてあると故障に繋がります。例えばエコキュートではヒートポンプユニットの吸込口と吹出口が塞がると正常に稼働しなくなる可能性があります。故障リスクを避けるためには温水器の周りにはスペースを保っておくことが大切です。
・豪雨や冠水の影響
近年、日本では甚大な豪雨被害に見舞われる地域が少なくありません。
そして屋外設置の給湯器も洪水による浸水や横殴りの豪雨で温水器内部に雨が入り込んでしまい故障することも。温水器が浸水または冠水した場合は通電は慎重にした方が良いでしょう。 外見は問題なさそうに見えても、温水器の内部に湿気が残っていたり、泥や塩分などで汚れている場合は漏電して発煙や発火を起こす危険性がありまので、水害を受けた後は専門業者に依頼して点検してもらいましょう。
特にエコキュートは一度冠水した場合、再び使用することは危険な可能性がありますので、新品に交換するように勧められることが多いようです。
電気温水器でも屋外設置の貯水タンクが故障する主な原因は風雨による腐食です。貯水タンクが雨風によって徐々に劣化して水漏れが起きると湯切れの原因にもなります。
・猛暑日の影響
ここ数年の日本の夏の猛暑が温水器にも大きなダメージを与えることがあります。屋外設置の温水器は、何日も猛暑日が続くとヒーターが高温になってしまい、それが原因で故障を引き起こすことも少なくありません。また、暑さの影響でタンクが割れて漏水したという事例も。このような猛暑による故障リスクを避けるためには温水器は直射日光を避けた日陰に設置するなどの工夫が必要です。
・季節による温度変化の影響
寒冷地で外気と温水器内部との温度差が大きい場合、中で結露が発生することがあります。温水器内部にはプリント基板など湿気を嫌う部品がありますので、もし錆びて通電しなくなれば給湯器は動作しません。
・落雷被害の可能性も
屋外設置の給湯器は非常にまれではありますが、落雷による被害を受けるリスクもゼロではありません。
電気製品は落雷を受けると内部で過電流が発生して、その影響で配線回りが損傷して故障することが多いと言われています。
落雷のタイミングは予測不可能なので対策を取ることは困難です。
・沿岸部の塩害
沿岸近くの施設では屋外設置した給湯器が塩害を受けるリスクが必然的に高くなります。
特に塩害を受けやすい地域では、潮風で運ばれた塩や砂が温水器の内部に入り込んで故障の原因になることも。そのため施設の地域に適した温水器を選ぶことが大切です。
以上の設置場所による故障リスクを考えると温水器は屋外に置くよりも屋内設置できる物の方がより安全と言えます。
福祉施設の居室では利用者が快適に暮らせる温度と湿度に保たれていますので、極端な温度変化が起きずに屋内設置の温水器への影響が少なく済むようです。
故障を防ぐにはメンテナンスが必要
福祉施設の居室にとって生活に欠かせない温水器の故障は避けたいものですが、故障を未然に防ぐためにも定期的なメンテナンスが必要です。
例えば貯水タンクの洗浄は、年に2~3回くらい行うことが推奨されています。また、配管の洗浄は、半年に1回の頻度で行うと良いようです。
他にも、数年に1回の頻度で定期点検を行うことで、劣化や故障している箇所が見つかりやすくなります。
これらのメンテナンスや定期点検を福祉施設のスタッフが行うとなると負担が大きくなります。そういう意味でもシンプルな構造の温水器が望ましいと言えます。また普段から相談できる専門会社を持つことも大切です。
まとめ | 福祉施設に必須の温水器は、安心して使えるものを
今回は、福祉施設の温水器の故障リスクが高い箇所と設置場所についてご紹介しました。温水器は大切に扱えば長く使えますが、もし耐用年数を過ぎて故障してリニューアルする場合には、各温水器の特徴や耐久性などを今回の記事を参考によく検討していただければ幸いです。
月々の高熱代が安く済んでも初期費用が高かったり、初期費用が安く済んでも耐用年数が短かったりと、それぞれの福祉環境に合わせたバランスを見極める必要があります。迷われたらまずはインフィルへご相談ください。これまでの福祉施設への豊富な導入実績を活かした適切なご提案ができます。修理や交換といった相談以外のちょっとした困りごとなどでもぜひお気軽にご相談いただければと存じます。インフィルでは一つひとつの福祉施設の現場で本当に必要なことを見極めて、最適なご提案をさせていだきます。今後ともよろしくお願いいたします。
「インフィルウェルネス」とは?
住宅設備を軸としたソリューションプロバイダーの株式会社インフィルによる、福祉施設・パブリックスペースのための製品開発や空間提案を行うプロジェクトです。車椅子利用を前提としたオリジナル洗面化粧台「AQUA」と、“日々の生活をしやすく(Day+Easy)”をコンセプトにした福祉施設向けの製品群「Daysy®」を軸に、誰もが快適に使いやすい製品を開発。設計から施工までワンストップで対応することでお客さまの抱えている課題と丁寧に向き合い、ソリューション性の高い提案を行なっています。
「エシカル水栓」とは?
インフィル独自の電気温水機能付き自動水栓「エシカル水栓」は、福祉施設の中でも特に特別養護老人ホームに向けた製品となります。製品価格はもちろん電気代も含めたトータルコストでの改善と飲用可能という機能面の両立を図った「エシカル」の名の通りの製品となっており、多くの施設で高い評価をいただいています。