福祉施設やパブリックスペース向けの製品や空間提案を行う「インフィルウェルネス」のWebサイトをご覧いただきありがとうございます。この「エシカルblog」では、「エシカル水栓」というインフィル独自の電気温水機能付き自動水栓製品を通じて、特別養護老人ホーム向けに少しでも施設の運営管理を楽にして、スタッフの方の働きやすい環境の実現に役立てればという思いから記事を掲載していきます。今回のテーマは、電気温水器の瞬間式と貯湯式の違いについてそれぞれのメリット・デメリットを簡単な図でご説明します。ぜひ最後までご覧ください。
電気温水器の方式が違えばサイズも消費電力も変わる
電気温水器には「瞬間式」と「貯湯式」の2種類があります。
瞬間式と貯湯式の二つの加熱方式の特徴を抜き出す形で極力単純な図で表しましたが、実際はもっと複雑な機構と給水経路があります。それぞれの特徴を一つひとつ見ていきましょう。
・電力消費量ついて
瞬間式は給水管から入った常温水が管を通る際に「瞬間的」に加熱してお湯にする方式です。利用者が水道を使うと同時に加熱し始めるため、待機時は電力を消費しません。(図1・図2)
貯湯式は給水管から入った常温水をいったんタンクに貯め、中で加熱してお湯にする方式です。タンクに貯めたお湯を保温のために一定温度に下がると自動的に加熱し電力を消費します。また、利用者が水道を使用すればタンクのお湯が減り再び常温水が補給されるので、さらに加熱で電力を消費します。(図3・図4)
・本体のサイズについて
瞬間式の本体は貯湯タンクが必要ないためコンパクトに収まります。また比較的軽く床から離して設置できるので車椅子の妨げにななりづらいのも特徴です。さらに待機時は加熱せず使用時も内部のセラミックヒーターで加熱するので温水器本体に触れても熱く感じにくい仕組みです。(図1-❶)
貯湯式の本体は、一般的に3リットル以上の水を貯湯タンクに貯めるため大きくなり、比較的重く、スペースを取ります。このため車椅子と接触してしまうことがあります。また保温中の貯湯タンクや給湯管に接触すると熱いと感じることも少なくないようです。(図3)
・連続使用での湯切れについて
瞬間式はその名の通り使用する瞬間にお湯を沸かすため、連続使用しても湯切れが起きることなく使えます。(図2- ❸)
貯湯式はタンクのお湯を使いすぎると水を補充して再び沸かすため、時間がかかり湯切れが起きることがあります。(図4- ❹)
・「飲用可能」について
瞬間式のお湯は、貯湯タンクを使わず瞬間的に水を温めただけなので「飲用可能」です。(図2- ❺)
貯湯式のお湯は、貯湯タンクの水がいつ貯めたものか分からないので「飲用には不向き」といえます。(図4- ❻)
・温度調整機能と導入コストについて
瞬間式は給水管から流れる常温水に“プラス15度”で温める設定ですので温度調整機能はありません(常温水に“プラス15度”が利用者にとって最適な設定温度と私たちは考えて温度調整機能を省いた分、導入コストをリーズナブルに設定しています)(図2- ❼)
貯湯式は温度調整機能があり、お湯の温度を自由に設定できます。その分、導入コストは一般的に高めになってしまいます。(図4- ❽)
個々でも差がつく電力消費量、これが施設全体となると…
今回は電気温水器1台の「瞬間式」と「貯湯式」を比較しましたが、これが福祉施設の居室での50台、100台となるとどうなるか考えてみましょう。
瞬間式は電気温水器の使用時のみに電力を消費するので、まず考えにくいのですが全居室が同時に電気温水器を使うというようなことがなければ電気使用量が一気に引き上がることはありません。(図5)
一方、貯湯式は貯湯タンクのお湯を常に一定温度以上に保つ必要があるため、全居室が同時に電力消費をし続ける状態になります。さらに水道を使用して加熱されればその電力消費も加わってしまいます。(図6)
福祉施設で高圧電力の契約している場合、電気料金が直近12カ月間における電力使用の最大値で決まる仕組みになっていますが、たとえば夏の暑い昼時に空調をフル稼働させる中、昼食に電子レンジを使うといった電力使用量のピーク時に、常に保温のために電力消費し続ける貯湯式電気温水器100台に電力使用量を上乗されたらどうでしょうか?その上乗せされた超ピークために電気料金が引き上げられてしまうなんてこともありそうですね。
たとえ日頃からコスト削減のためにコツコツ一生懸命に節電に取り組んでいたとしても、この一時的な電力使用量の増加で最大値が更新されてしまえば、結局、電気料金削減に繋がらなくなってしまいます。根本的に電気料金削減を考えれば“使わない時には電力を消費しない”瞬間式電気温水器を採用することはとても有効な方法だと考えます。
まとめ| 比べてみれば瞬間式の「エシカル水栓」がリーズナブル
今回は図を使って電気温水器の貯湯式と瞬間式のそれぞれの特徴についてご説明しました。電気温水器の耐用年数は10年〜15年といわれています。現在、貯湯式電気温水器を使用されている福祉施設の方はリフォームを機にぜひ瞬間式の「エシカル水栓」をご検討いただければと思います。
もしかしたら電気温水器が耐用年数を迎えて今後頻発する個々の故障対応での修理費用をトータルにすると、導入コストを低く抑えた「エシカル水栓」で全体的にリニューアルした方がかえってリーズナブルかもしれません。加えて年間の電力使用量などのランニングコストも考慮に入れていただければハードルはグッと下がるのではないかと考えます。
高騰しつづける電気料金でお悩みの福祉施設の管理者の方へ、まずはインフィルまでご相談ください。それぞれ異なる施設の環境に合わせて、導入コストやランニングコストを考慮したよりよい解決方法を一緒に考えご提案させていただきます。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
「インフィルウェルネス」とは?
住宅設備を軸としたソリューションプロバイダーの株式会社インフィルによる、福祉施設・パブリックスペースのための製品開発や空間提案を行うプロジェクトです。車椅子利用を前提としたオリジナル洗面化粧台「AQUA」と、“日々の生活をしやすく(Day+Easy)”をコンセプトにした福祉施設向けの製品群「Daysy®」を軸に、誰もが快適に使いやすい製品を開発。設計から施工までワンストップで対応することでお客さまの抱えている課題と丁寧に向き合い、ソリューション性の高い提案を行なっています。
「エシカル水栓」とは?
インフィル独自の電気温水機能付き自動水栓「エシカル水栓」は、福祉施設の中でも特に特別養護老人ホームに向けた製品となります。製品価格はもちろん電気代も含めたトータルコストでの改善と飲用可能という機能面の両立を図った「エシカル」の名の通りの製品となっており、多くの施設で高い評価をいただいています。